近代日本画は、西洋絵画の流入と社会の急激な変化のなかで、
「自然をいかに描くか」という根源的な問いに、繰り返し向き合ってきました。
写生か、思想か。
生活か、古典か。
あるいは、それらすべてを超えた沈黙か。
本展では、
竹内栖鳳 (1864-1942)、横山大観 (1868-1958)、川合玉堂 (1873-1957)、前田青邨 (1885-1977)、小野竹喬 (1889-1979)
という五人の画家を通して、
自然が〈写生〉〈思想〉〈生活〉〈古典〉という異なる方法によって再構築されていく過程を辿ります。
そして終章に位置づけられる小野竹喬の作品は、
それらすべてを統合するかのように、
語ることをやめた自然、
ただ「そこに在る風景」を静かに提示します。
本展は、近代日本画が到達した
「静けさ」というひとつの結論を、
あらためて見つめ直す試みです。
<展示構成>
・第1章|写生という革命
竹内栖鳳
伝統的な日本画に、徹底した観察と身体的な視線を導入した革新者。
写生とは再現ではなく、
既存の様式を壊し、描く行為そのものを更新する試みでした。
この章では、
近代日本画における「描くこと=壊すこと」の起点を示します。
・第2章|自然の思想化
横山大観
大観にとって自然とは、
風景であると同時に、精神や理念を宿す存在でした。
形を曖昧にし、余白を大きく取ることで、
自然は象徴へと昇華され、
近代日本画に思想的な軸が与えられていきます。
・第3章|生きられる風景
川合玉堂
農村の営み、四季の移ろい、
人と自然がともに生きる時間。
玉堂の風景は、
自然を対象としてではなく、
生活のなかで共有される「時間」として描き出します。
・第4章|古典という方法
前田青邨
青邨は、大和絵や古典を懐古的に再現するのではなく、
現代に接続するための方法として再構築しました。
過去を参照しながら、
「日本的とは何か」という問いを現在へと引き戻します。
・第5章|沈黙する自然
小野竹喬
人も物語も排され、
ただ風景だけが、そこに在る。
解釈や象徴を拒むように、
自然は沈黙そのものとして画面に立ち現れます。
近代日本画が積み重ねてきたすべての問いは、
ここで静かに、語ることをやめます。
<開催概要>
本展は予約制にて開催いたします。
会期|2026年1月23日(金)― 2月20日(金)
会場|タカト・カノウギャラリー 名古屋店
〒460-0007
愛知県名古屋市中区新栄1-12-26 AKKビル10F





